ユーザーの信頼を守るSEOへ──YMYLを学んで見えた本質

【結論】YMYLを意識せずにコンテンツを作る時代は終わった

YMYL(Your Money or Your Life)は、ユーザーの人生や生活に重大な影響を与えるテーマを扱う領域。
Googleはこの分野において、従来以上に「信頼性・専門性・透明性」を強く求めるようになっている。
特に求人広告などのキャリア関連ジャンルは、まさにYMYLの代表格。
今回この概念を学んだことで、コンテンツの作り方そのものを見直す必要性を痛感した。

目次

  1. YMYLとは何か?
  2. なぜYMYLが重要視されるのか?
  3. YMYLが重視されるようになった発端(海外と日本)
  4. 求人広告の実務でどう活かすか?
  5. 学びを今後にどう活かしていくか

1. YMYLとは何か?

YMYLとは、Your Money or Your Life の略で、Googleが検索品質評価において特に注意している情報ジャンル。

ユーザーの「お金」「健康」「仕事」「法律」など、人生に大きな影響を与える内容を扱うページが対象となる。

代表的なYMYLジャンル:

  • 金融(投資、副業、税金、借金など)
  • 医療・健康(病気、治療、サプリメントなど)
  • 法律・安全(離婚、相続、防災など)
  • キャリア(就職、転職、資格など)
  • 人生へのアドバイス(メンタル、人間関係など)

つまり、間違った情報がユーザーの人生を左右する可能性があるジャンルは、より厳格な品質基準で評価されるということ。

2. なぜYMYLが重要視されるのか?

YMYLが重視される理由は非常にシンプル。
それは「検索結果が人生に直結する」から。

誤った医療情報を信じれば健康被害が出る。
信憑性のない副業に手を出せば金銭的損失が出る。
信頼できない求人情報を見て転職すれば、人生設計そのものが崩れるかもしれない。

Googleは検索サービスを「人類の情報インフラ」として提供している以上、検索結果の品質に対して非常に高い責任を負っている。

YMYL領域で重視される評価要素:

  • 情報の正確性・出典の有無
  • 執筆者の専門性・経験
  • サイトや企業の信頼性・透明性
  • 嘘や誤解を招く表現がないか

つまり、ただキーワードを入れただけのSEO対策では、YMYL領域では通用しない。

3. YMYLが重視されるようになった発端(海外と日本)

海外:フェイクニュースとMedicアップデート

2016年の米大統領選挙を機に、検索やSNSでの誤情報拡散が世界的に問題視された。
それを受けてGoogleは、検索品質を大幅に見直す方針を打ち出す。

その流れの中で、2018年に実施されたのが「Medicアップデート」。
医療・健康・金融などYMYL領域で、信頼性の低いコンテンツの順位を大きく下げるアルゴリズム変更だった。

ここから、E-E-A-Tを評価軸とする「信頼できる情報」の選別が本格化した。

日本:WELQ問題がきっかけ

日本では2016年、DeNAが運営していた医療系メディア「WELQ」が社会問題に。
医師監修なし、出典不明な健康記事が検索上位を独占していたことで批判が集中し、最終的にサービスは閉鎖された。

この事件をきっかけに、Googleは日本の医療・健康ジャンルの検索評価を強化。
信頼性のないアフィリエイト系サイトは大きく順位を下げ、医療機関や専門家監修サイトが優先されるようになった。

現在ではその方針が「キャリア」「副業」「法律」などの領域にも広がっている。

4. 求人広告の実務でどう活かすか?

求人広告や転職サイトは、まさにYMYLに該当するジャンル。
つまり、検索上で評価されるには「信頼を担保した設計」が求められる。

求人系コンテンツで実践すべきこと:

✅ 体験ベースの記事を増やす(Experience)

  • 求職者の声・インタビュー事例
  • 転職体験談、職場のリアルな声

✅ 専門性を打ち出す(Expertise)

  • キャリアアドバイザーの視点を反映
  • 職種別・業界別の転職ノウハウを体系化

✅ サイト全体の信頼性を高める(Trustworthiness)

  • 会社情報、監修者情報、出典の明記
  • プライバシーポリシー・問い合わせ窓口の整備
  • Googleサーチコンソールによる構造化データ対応

求人系のSEOで成果を出すには、「読者に安心される構成・情報設計」をベースにすることが前提条件になってきている。

5. 学びを今後にどう活かしていくか

今回YMYLについて学んだことで、コンテンツ制作のゴールは「上位表示」ではなく、「信頼の獲得」だという視点に変わった。

求人・キャリア領域は、人の人生そのものに影響を与える。
だからこそ、SEOも単なる集客ではなく、情報の質と信頼性を保証するための設計思想として捉える必要がある。

今後はあらゆる記事・ページ制作において、

  • ユーザーの意思決定を正しく導けるか?
  • 誰が見ても信頼できると感じるか?
  • 実体験や根拠に基づいた情報になっているか?

を問いながら、E-E-A-Tに基づいた高品質なコンテンツを積み重ねていく。