【2025年版】米津玄師 ライブ&フェスのセトリ定番曲20選|予習におすすめの人気曲まとめ

◇ 米津玄師ライブ&フェスの名場面を作る定番曲20選|最新の傾向から徹底解説──あの瞬間をもう一度

米津玄師のライブには、いつ観ても心を持っていかれる瞬間がある。
照明が落ちる直前のざわつき、イントロの一音で空気が一気に締まるあの“引き込まれる感覚”。公演が違っても必ず訪れるその瞬間には、変わらず中心に居続ける曲たちがある。

筆者はこれまで、ツアーごとに実際に会場へ足を運びながら、どの曲で空気が変わるのか、どの曲で心が静かになるのかを繰り返し体感してきた。最近の流れも含めて米津玄師のライブがどんな“構造”で組まれているのかを丁寧に追ってきた。
その中で強く感じたのは、米津玄師のライブは“音源を聴けば十分”というタイプの公演ではなく、会場で初めて本当の姿を見せる楽曲がいくつも存在するということだ。

初めてライブに参加する人にとっては、事前に「どの曲がどう作用するのか」を知っておくだけで緊張が和らぎ、より深く楽しむ準備ができる。
そして何度も参加している人にとっては、“なぜあの瞬間で鳥肌が立ったのか”“なぜあの曲で静まり返ったのか”といった ライブの奥に潜む理由 が見えてくる。

米津玄師のライブが特別なのは、派手な煽りがなくても会場が自然にひとつになるところだ。
それは、曲そのものに人を動かす力があるから
手が上がる、息を呑む、涙がこぼれる――そのすべてが偶然ではなく、音の重なり方、照明の色、イントロの空気、歌い出しの一瞬など、曲が持つ“ライブでの性質”が作用して生まれている。

この記事で取り上げる20曲は、筆者自身が現場で繰り返し感じてきた“ライブでの強さ”を軸にしたラインナップだ。
どのタイミングで会場が揺れるのか、どんな光景が生まれるのか──ライブで曲がどのように“動く”のかを、ひとつずつ丁寧に描いていく。

検索意図として多い
「米津玄師のライブで盛り上がる曲を知りたい」
「予習すべき曲を整理したい」
「クラップや手拍子のポイントを把握したい」

これらを満たすために、曲の特徴・ライブでの作用・実際の反応をわかりやすくまとめた。

予習をするだけで、ライブの景色は大きく変わる。
“知っている曲が来て嬉しい”ではなく、
“次に何が起きるかまでわかって楽しめるライブ” に変わるからだ。

では、米津玄師のライブを特別なものにしてきた20曲を紹介していこう。
あなた自身の体験を、もっと鮮やかにするために。

◇ 米津玄師 ライブ&フェスセトリ定番曲20選

  1. Lemon
  2. LOSER
  3. 感電
  4. KICK BACK
  5. M八七
  6. 地球儀
  7. LADY
  8. RED OUT
  9. マルゲリータ
  10. さよーならまたいつか!
  11. ゆめうつつ
  12. Azalea
  13. ピースサイン
  14. ドーナツホール
  15. がらくた
  16. BOW AND ARROW
  17. Plazma
  18. LOST CORNER
  19. IRIS OUT
  20. JANE DOE

1. Lemon

照明が落ちて客席が暗くなる。ステージの中央にだけ白い光が落ちて、米津さんの輪郭が浮かぶ。その瞬間、空気がひとつ静かになる。歌い出しが響くと、まわりの息づかいがゆっくり整っていくのが分かった。近くで小さく口を動かす人がいて、その控えめな動きがこの曲らしい。“胸に残り離れない苦いレモンの匂い”。ここに入った時、客席の視線が自然とそちらに寄っていく。声を張るでもなく、沈黙がまとまっていくような感覚。

余計なものがほとんどないステージで、言葉だけが前に出る。別の公演では、薄いレーザーが横に流れたり、最後に絵のような映像がふっと浮かんだりしたけれど、どれも気づけば消えていた。2019年のツアーで漂ったレモンの香りは本当に一瞬で、風に混じったように感じた。曲が終わると、しばらく誰も動かない時間があって、その静けさだけが残る。毎回、この曲が本編に置かれる意味をそこでもう一度考える。

2. LOSER

イントロが走り出すと、前の列の肩が少し上がり、周りのテンションが一段跳ねる。サビに向かうほどリズムが重くなって、客席の呼吸が早くなるのが分かった。米津さんの「フゥー!」が飛んだ瞬間、拳が一斉に上がり、返ってきた「フー!」の声が前方から押し寄せる。手拍子は自然に揃っていて、跳ねる人と揺れる人が入り混じる。どこで声を返すかが明確な曲なので、初めての人でも一瞬で参加できる。

2023年「空想」ツアーでは、四階建てほどの高さの階段セットが左右に展開された。
米津さんはその頂上に立ち、客席を見下ろす位置で歌い切る。反対側の階段ではダンサーが激しく動き、アウトロが実際に数小節延びて、音の勢いが最後まで落ちない。上から照らされるライトが影を強くして、曲の荒さとスピードがそのまま前に出てくる。特別なポーズを取るわけじゃないのに、頂上に立つだけで空気が一段引き締まった。

曲が終わるころには、まわりの息が少し荒く、まだ拳を上げている人もいる。2017年以降、ツアーでもフェスでも演奏率の高い定番曲
声を返して体を動かすことで完成するタイプの曲で、ライブ全体の流れを強く押し上げる存在だ。

3. 感電

ホーンが鳴った瞬間、序盤の空気が少しだけ前に動いた。米津さんの「元気かーい?」が客席に届くと、大きな声が返ってきて、場の緊張が一気に緩む。コロナ禍明けのツアーでは、サビ前の“ワンワンワン♪”を小さく真似する人がいて、その軽さが曲の入りに独特の明るさを作っていた。サビに入った瞬間、前の列からクラップが一斉に上がり、その音の密度で会場の温度が一段変わった。手を合わせる音が層になって押し寄せ、観客のリズムがひとつに揃う。

ステージでは「TEAM TSUJIMOTO」のダンサーが、MVの動きをライブ用に振り切って踊る。黄色い照明がネオンのように走り、スクリーンには揺れる街並みが映って、音の速さに合わせて視覚もせわしなく動く。Cメロの複雑なフレーズを米津さんが生で正確に歌い切る瞬間、周囲の呼吸が短く止まったように感じた。最後に強いフラッシュが走ると、客席から短いどよめきが返ってくる。

「感電」は2020年以降のライブで披露が待たれていた曲で、声出し解禁後の公演では盛り上がりが大きく伸びた。序盤で一気にエンジンをかけ、サビのクラップで観客の体を同じ方向へそろえるタイプの一曲だ。

4. KICK BACK

イントロが鳴った瞬間、前の列が一気に前へ押し出されるように揺れた。米津さんがマイクを客席に向けたまま構えると、サビの**「努力!未来!A BEAUTIFUL STAR!」が客席から爆発する。声というより、叫びの塊がまとまってぶつかってくるような感覚があって、その一拍で会場の温度が跳ね上がった。続く「ハッピーラッキーこんにちはベイビー」**も同じ熱量で返ってきて、曲の流れに合わせて拳と声が完全に同期する。ジャンプしている人や、肩でリズムを叩く人が混ざり合って、視界が常に揺れていた。

ステージではダンサーが左右に広がり、赤い照明の中で動きが激しくぶつかり合う。サビに合わせて火柱が上がり、熱気が前方まで届く。米津さんが手持ちカメラを構えたままステージを動くと、スクリーンに映る映像が揺れ続け、音と照明と映像が全部つながってカオスな勢いになる。サンプリング部分の“跳ね”で客席がさらに加速し、米津さんが胸元に手を当てて軽く遊ぶ仕草に、短い笑いと歓声が混ざった。

「KICK BACK」は2022年以降のライブで観客参加の熱量が特に高く、サビの合唱が最大のハイライト。曲が終わったあともしばらく息が整わず、解放感だけが残る。ライブの流れを一気に振り切るタイプの一曲だ。

5. M八七

四つ打ちのリズムが鳴り始めると、客席の空気が少しずつ前へ寄っていく。声を上げるというより、じっと耳を預けるような雰囲気で、序盤は静かだ。サビに入った瞬間、前の列で拳がゆっくり上がり、その動きが周囲にも伝わっていく。跳ねたり叫んだりはしないのに、視線の集中だけで空気が変わるのが分かった。曲の世界に入りながら、体のどこかを強く握るような聴かれ方をする曲だと思う。

2025年のドーム公演では、車や瓦礫が上空へ吸い上げられていく映像がスクリーンいっぱいに広がった。
暗い会場の中で光だけが動いて、音と映像のスケールが揃った瞬間、胸の奥が少しざわつく。星空の映像が出た時は、ステージの奥行きがそのまま夜空になったように感じて、四つ打ちのキックとギターのアルペジオが照明の明滅と重なって響いた。Cメロ以降の米津さんの声は、言葉に強さが乗るというより“まっすぐ通ってくる”印象で、周囲の呼吸が短く揃う瞬間があった。

ラストのロングトーンが終わると、静かな時間が一瞬だけ落ちる。そのあと大きな拍手が広がって、会場の温度がゆっくり戻っていく。M八七は盛り上がりではなく“受け止める”ことで完成する曲で、本編の流れの中でも特に記憶に残る一曲だ。

6. 地球儀

スクリーンに木々が広がり、風の音がわずかに混ざったような映像が動き始めた瞬間、客席のざわつきがすっと落ちた。森の奥から鳥が飛び立つ映像が続き、会場全体の視線がステージに吸い寄せられていく。曲が始まると、米津さんの伸びた声がコーラスの響きと重なって、空間がゆっくり深くなっていくように感じた。体でリズムを取る人はほとんどいなくて、サイリウムの光だけが小さく揺れている。観客が“参加する”というより、そこに流れるものを丸ごと受け取っているような空気だった。

2023年「空想」ツアー最終公演でサプライズ披露された曲で、会場にいたほとんどの観客が初めて聴く新曲だった。
そのせいか、序盤から呼吸の揃い方が独特で、音が進むほど会場の静けさが深くなる。天井いっぱいに投影された森の映像は、ステージの奥行きを越えて広がるように見えて、まるで自分がその景色の中に立っている感覚があった。青サギが飛び立つアニメーションが曲の終わりに重なったとき、空気が一瞬だけ止まり、すぐに大きな拍手が返ってきた。

この曲は声を上げて盛り上がるものではなく、静けさと集中で一体になるタイプの曲。本編の中でも特に余韻が長く残る一曲だった。

7. LADY

アンコールでイントロが始まった瞬間、客席の空気がゆるくほどけた。手拍子がすぐに起きるんだけど、後ノリの曲なのに表拍で揃ってしまう人が多くて、そのズレが逆に温度を上げていく。筆者の周りでも同じようにズレが生まれていて、そこに笑い混じりの軽さがあった。跳ねるというより、肩と足でゆっくりリズムを取るような“アンコールの立ち上がり方”をする曲だと思う。

白いライトの輪の中を、米津さんが花道に沿って歩き出す。腰に手を当てたまま前を向いて進む姿は、力んでいないのに存在感がある。その後ろにダンサーが縦に並んで、マリオネットのような動きを合わせてくる。スクリーンには横断歩道を思わせるストライプと青空の映像が広がって、ステージが一瞬だけ都会の昼のように見えた。サビ前にボコーダーの声が入ると、映像の明るさとは別の質感が重なって空気が少し引き締まる。

2023年「空想」ツアーファイナルでは、ホーン隊の生音が加わり、サビの抜けが一段明るくなった
ラストでは米津さんがピアノのリズムに合わせてマイクを小刻みに揺らし、視線を落として静かに曲を締めた。手拍子の余韻と一緒に会場の幸福感がそのまま残る、アンコールにぴったりの一曲だった。

8. RED OUT

客電が落ちた瞬間、ドームが深い暗さに沈んだ。次の刹那、雷鳴のような重低音が腹の底に響き、視界を横切る赤いレーザーが一本だけ走る。ざわめくというより、周囲の呼吸が一度止まったような静けさがあった。米津さんがゆっくりステージに現れ、マイクスタンドに手を置いたまま伏し目で歌い始める。開演直後の空気がそのまま別世界に切り替わるような感覚だった。

ビートが本格的に鳴り始めると、赤い照明が荒く明滅し、視界に刺さる光がリズムに重なる。米津さんが「消えろ」と語気を強めた瞬間、ライトの角度が一気に変わり、その鋭さが体に突き刺さるように感じた。跳ねる曲ではないのに、拳が自然と上がる客席があって、その動きに合わせて短い声が返ってくる。叫びというより、本能的な反応に近かった。

ステージ両側には黒いバルーンがいくつも並び、赤い光が反射して不気味に膨らんで見える。「視界はRED OUT!」 の一声に合わせて照明が一気に真紅へ振り切れ、視界まで色が変わったような錯覚が起きた。アウトロまで息をつく間がなく、音の圧で胸が一定のリズムで押される。開幕の一曲でこれほど空気を削り取る曲はなかなかない。ジャンプする曲ではなく、**“圧に飲まれながら拳を上げるタイプの参加曲”**だと感じた。

9. マルゲリータ

イントロの光がブルーからピンクへ滑るように変わった瞬間、客席の空気が一段明るくなった。米津さんが肩をすくめ、指先で軽く「おいで」と示しただけで前の列の視線が一気に引き寄せられる。歌い出しの艶のある声が響くと、場内のあちこちからクラップが起き、リズムが自然に体へ入ってくる。跳ねるビートの上で手拍子が揃う感覚は、この曲ならではの気持ちよさがあった。

サビ前、米津さんが両手で握ったマイクを客席に向けた瞬間、空気が一度止まる。「XOXO!」 のフレーズに合わせて客席から叫びが返ってきて、その声の圧が前方から大きな波のように押し寄せた。筆者の周りでも同じタイミングで拳や手が上がり、色気というより“遊ばれている”ような距離感が生まれる。ライブで初めてこの曲を聴いた時も、このコールが曲の中心になる感覚はすぐに分かった。

スクリーンにはパステルカラーの夜景が流れ、ステージが都会のドライブコースのように見える。米津さんが腰を左右に揺らす動きが曲の軽さとよく合っていて、そのまま客席も同じ方向に体が動いていく。曲が終わる頃には手拍子の余熱が残り、軽い高揚がそのまま広がっていく。観客がリズムで参加し、サビで声を返すタイプの一曲で、ライブ中の“遊び心”がもっとも前に出る瞬間だった。

10. さよーならまたいつか!

曲のイントロが鳴った瞬間、客席の空気がふっと軽くなった。ステージが明るい色へ切り替わり、花吹雪の映像と一緒に袴姿のダンサーが広がる。前の曲まで静かに聴き入っていた観客も、手拍子が自然に揃い始めて、視界が一気にカラフルになる。米津さんが笑い声のような**「うっひゃひゃぁ!」**を放った瞬間、前の列から短い歓声が上がり、空気がもう一段明るく跳ねた。

筆者の周りでも、リズムに合わせて肩を弾ませる人がいて、サビでは小さく口ずさむ声も混ざった。《さよーならまたいつか!》のフレーズは、歌おうと思わなくても自然に口が動く。お祭りのような一体感というより、“みんなの手が同じ方向へ軽く跳ねる”ような揃い方だった。紙吹雪が客席に向かって舞った瞬間、客席の上から光が降ってくるように見えて、視界全体が祝福されているような感覚があった。

「あなたに会いたい」で米津さんが客席に手を伸ばし、「私でいたんだ」で胸に手を当てた姿は、振付というより言葉の輪郭がそのまま動きになったように感じた。ラストで横向きのピースを決めたとき、客席のあちこちで小さく笑いが漏れて、そのまま大きな拍手へつながる。
中盤に置かれることが多い曲だけど、会場の気持ちをひとつ明るい方向へ押し出す力を持った一曲だと思う。

11. ゆめうつつ

「ゆめうつつ」が始まったとき、会場の空気がゆっくり沈んでいくのを肌で感じた。客席のざわめきがすっと消えて、暗闇の中で白い布がふわりと浮かび上がる。天井から吊られたそのヴェールがゆるく揺れるたび、光がやわらかく反射して、夜の街を包む霧みたいにステージ全体が淡く滲んだ。筆者の横の列でも誰一人動かず、ただ呼吸だけが静かにそろっていく。

スクリーンにはビルの窓だけが点々と灯った夜景が映り、手前では男女のダンサーがバレエのように滑らかに動いていた。大きなアクションはないのに、視線が自然と中央に吸い寄せられる。米津さんの声が入った瞬間、頭の中にその“夜”が一気に広がって、気づけば現実との境目が曖昧になっていく感覚があった。

曲の終盤、ヴェールが静かに落ちていくタイミングで、会場の空気がふっと元に戻る。余韻が長く残るタイプの曲で、終わったあとも数秒間は誰も声を出さなかった。
“夢の中に置いていかれるような曲”──筆者にとってはそんな印象の一曲だった。

12. Azalea

「Azalea」が始まった瞬間、会場の空気がひとつ深く沈んだ。ステージ下手に吊られた薄い布が、紫の光を受けてゆっくり舞っている。花びらの裏側だけが光っているような、淡い色の揺れ方。左右のスクリーンに映ったアザレアの花が呼吸しているみたいに見えて、筆者はしばらく視線を動かせなかった。

演奏が進むにつれて、客席の空気が静かに温まっていくのが分かる。誰も声をあげないけれど、前の人の肩がかすかに揺れていて、リズムにそっと体を預けているのが伝わってきた。コールがない曲なのに、集中している空気は逆に強い。

米津さんは片手をポケットに入れたまま、淡々とした姿勢で歌っていた。ところが2番サビ前、ポケットの手をそのまま振り下ろす瞬間があって、ステージの柔らかさが一気に切り裂かれたように見えた。あの一振りに思わず息を飲んだのは筆者だけじゃなかったと思う。周囲から小さな「おお…」というどよめきが漏れた。

曲が終わると、しばらく静寂。その後で大きな拍手が一気に広がった。派手じゃないのに、**“ひとつの絵を見せつけられた”**ような余韻が残る曲だった。

13. ピースサイン

「ピースサイン」が鳴った瞬間、周りの腕が一斉に上がった。迷いなく“Vサイン”がずらりと並ぶあの光景は、そこにいるだけで胸が少し熱くなる。筆者も気づけば腕を伸ばしていて、ドームの空気が一気に跳ねるのが分かった。サビに入る頃には、前の列も後ろの列も、体が自然と前後に揺れていて、ジャンプの振動が床越しに伝わってくる。

米津さんはギターを肩に掛け、ストロークを刻むたびに照明が弾ける。ドラムのテンポが背中を押すように速くて、バンドの音が互いに噛み合う感じが心地いい。特にギターのリフが重なるところでは、ステージから飛び散った火花みたいに音が広がって、筆者は思わず息を吸い直した。

後半に差し掛かると、観客の声が演奏に混ざって聞こえる。誰かが叫ぶでもなく、自然と漏れ出るような声。ピースサインの手が上がるたびにライトが反射して、客席全体が揺れて見える。あの一体感は、この曲ならではだと思う。

ラストのコードが伸びた瞬間、大きな拍手が一斉に重なった。シンプルに“楽しい”のに、それだけじゃ片づけられない多幸感が残る。ライブでこの曲がクライマックス扱いされる理由が、ようやく腑に落ちた。

14. ドーナツホール

本編の後半、照明が落ちた静かな間を割るようにあのイントロが流れた瞬間、客席のあちこちで思わず声が漏れる。予想していなかった選曲だったから、筆者の周りでも小さく「嘘だろ…?」という息が漏れ、その直後には一段階空気が跳ね上がった。

ステージにはハチ名義のオリジナルMVがそのまま投影され、赤と白の点滅がリズムと絡んで視界を支配する。音像の鋭さと映像の無機質さが噛み合い、ライブというより“展示空間”の中で音を浴びているような感覚になる。ラストで瓦礫の穴へ吸い込まれていく映像がそのまま「がらくた」へ繋がる構成は、現場で見ると息を飲むほど滑らかで、セット全体の流れを一段と立体的にしていた。

サビでは筆者も含めて口が自然に動く。前の列では肩が揺れ、曲が終わった瞬間には「来た…!」という呟きが重なった。長く封印されていた曲が突然解き放たれると、こんなにもフロアが震えるのかと実感した一幕だった。

15. がらくた

前の曲が終わって暗転した瞬間、客席のざわめきがすっと消えた。スクリーンに洞窟の奥へ吸い込まれていく映像が浮かび上がると、筆者の周りも息を飲むように静まり返る。最初の一音が響く頃には、もう誰も身じろぎしていない。バラードだけど湿っぽさはなく、言葉より先に“奥にあるものを引きずり出される”ような感覚があった。

サビに向かうと照明が少しずつ広がり、天井いっぱいに光の粒が舞い上がっていく。洞窟の闇に星が湧き出すような演出で、筆者も思わず見とれてしまった。周囲も同じタイミングで顔を上げていて、その静かな連鎖が印象に残っている。

ラストのフレーズに入った瞬間、米津さんの声の伸びが空気を震わせた。強く叫ぶわけでもないのに、胸の奥がじわっと熱くなる。音が途切れたあと、一拍だけ無音が落ちた。その短い間に、客席のあちこちで誰かが息を吸い直す気配がした。

拍手が始まったのはほんの数秒後。小さくではなく、最初から大きい。まるで誰かが合図をしたかのように揃っていて、その温度に包まれると、筆者は身体の力がゆるむのを感じた。本編ラストに置かれる理由が、その瞬間だけで分かる。

16. BOW AND ARROW

アンコールの一曲目として突然イントロが走り出した瞬間、客席の温度がひと段上がった。氷が砕け散る映像がステージ後方に広がり、その光に照らされながら米津さんが両手を弓の形に引き絞って現れる。静かに構えているだけなのに、その緊張感がこちらの胸にも張りつくように伝わってきた。

ビートが重く刻まれ始めると同時に、周囲から手拍子が自然に生まれた。強く叩くわけではなく、拍を確かめるように揃っていくリズム。サビで「僕は弓になって」のフレーズに入った瞬間、米津さんが矢を放つように腕を伸ばす。その一動作に合わせて客席の視線が一気に前に吸い寄せられ、期待が跳ねるような一体感が生まれた。

氷の欠片が舞い上がる映像と赤みを帯びた照明が曲の疾走感を後押しし、アウトロは原曲より少し長く引き延ばされていた。筆者はその延長された数秒の間、会場の呼吸が揃うような不思議な感覚に包まれた。曲が終わったあと、どこからともなく「弓のポーズ、やっぱり最高だった」と興奮気味の声が聞こえてくる。

派手に煽るタイプの曲ではないのに、ひとつの動きでフロアを掴む力がある。アンコール冒頭に配置される理由が、あの緊張と爆発の瞬間で腑に落ちるようなステージだった。

17. Plazma

アンコールの二曲目に「Plazma」のイントロが走り出すと、青・黄・白の照明が一気に点滅し、フロアの空気がさらに加速した。ガンダムカラーのライトが立体的に交差し、ステージには宇宙空間のような映像がきらめく。ダンサブルなビートが重く跳ねるたび、筆者の足元まで振動が伝わってくる。

サビに向かう直前、前列の数人が小さく身体を弾ませるのが見えた。そこに呼応するように、周囲でも拳を上げる動きが広がり、自然とジャンプが連鎖していく。言葉で煽っているわけではないのに、曲の“癖になるリズム”が観客全体を押し出してくる感覚がある。筆者も気づけば肩が前に出ていて、音の波に身体を預けるように揺れていた。

レーザーが細い線を描くたび、米津さんの輪郭が瞬間的に浮かぶ。力強い歌声が重心の低いビートと絡み合い、その度に会場の温度が一段ずつ上がっていく。曲中は声を揃える決まったポイントこそないが、サビの跳ね上がる瞬間に客席が一斉に動くあの感じは、まるで無言のシンガロングのようだった。

終わったあと、後ろの席から「Plazma、ライブだとヤバいな…」という疲れと興奮が混ざった声が聞こえてきた。派手な演出だけじゃなく、リズムそのものがフロアを揺らすタイプの曲。アンコールに続けて置かれる理由が、体で理解できる一曲だった。

18. LOST CORNER

アンコールのラストで「LOST CORNER」のイントロが鳴り、淡い照明が広がった直後、黄色いオープンカーがステージ脇からゆっくり姿を見せた。運転席には米津さん。まさか車で来るとは思っていなかったので、筆者も含めて周囲に小さなどよめきが走る。そのままアリーナの外周へ進みながら歌い始め、車上から軽く手を振るたび、あちこちで跳ねるような歓声が生まれた。

レトロなギターとベースのゆるやかなグルーヴが会場の空気をほどき、フロアの表情が柔らかく変わっていくのが分かる。車が近づくたび、視線が吸い寄せられ、米津さんの声が直接届くような距離感になる。巨大な“がらくたくん”のオブジェがステージに佇んでいて、その横を車が通過する光景が少し不思議で、どこか遊園地の夜に紛れ込んだような気持ちになった。

サビに向かう頃には銀テープが天井から舞い、色とりどりの光の中で車はステージへ戻っていく。戻り際に猫のぬいぐるみを客席へ放る姿が映し出され、思わず笑う観客も多かった。曲の終盤、米津さんはボンネット上に立ち、軽くステップを踏むように体を揺らす。その姿に合わせて客席から温かい拍手が重なった。

派手に煽らなくても、最後にこの曲を置く理由が分かる。祝祭の余韻と、少しの寂しさが同時に押し寄せる。会場全体がその空気を共有しているのが、肌で感じられる一曲だった。

19. IRIS OUT

「IRIS OUT」は、映画『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として公開された新曲で深く沈むようなベースと鋭いギターが重なり合う、緊張感のある始まりが印象的だ。映画館で聴いたとき、最初の低音が空気を震わせ、その振動が胸の奥にゆっくり落ちてくる感覚があった。レゼ篇の映像と重なった瞬間、音が物語の痛みをすくい上げていくようで、場内の空気が一段と静かになったのを覚えている。

サビでは一気に視界が開けるような高揚があり、伸びるメロディが切れ味のあるビートに引っ張られていく。その広がり方が劇中の決定的なシーンと重なり、音だけで心臓を掴まれるような感覚になった。周囲でも袖で目元を拭う仕草が見えて、曲が感情を直に揺らしているのが伝わってきた。

SNSでは「胸が締めつけられた」「レゼ視点で聴くと苦しいほど刺さる」といった感想が数多く並び、作品との親和性の高さが語られている。重心の低いビートに対してサビが大きく跳ね上がる構造は、ライブでも強い没入感を生むだろうと自然に想像できる。物語の余熱を宿したまま、強く前へ進むエネルギーを持つ一曲だ。

20. JANE DOE

「JANE DOE」は、静かに揺れるワルツのリズムに乗って、米津さんと宇多田ヒカルの声が重なっていく。映画館で初めて聴いたとき、序盤のピアノの柔らかい立ち上がりに迷い込むような感覚があり、音が空気をすべるたびに場内の呼吸がゆっくり整っていくのが分かった。デンジとレゼが雨宿りする場面の映像とリンクし、歌声がその情景の輪郭を優しくなぞるように響く。

歌詞の「硝子」「足跡」といった言葉が流れるタイミングで、電話ボックスや校舎、プールといったシーンが重なり、筆者はまるで光の粒が水面に落ちる瞬間を見ているような静かなざわつきを覚えた。二人の声が交差するパートでは、音の層がふっと厚みを増し、胸の奥でゆっくり波が広がるような感覚が残る。

SNSには「情景まで浮かぶ」「切なすぎて泣いた」という感想が多く、映像との親密さが強調されている。派手な盛り上がりを求める曲ではないが、その静けさの中に小さな痛みが潜んでいて、聴き終えたあともしばらく余韻が離れない。繊細で深い感情を、淡い光のようにそっと手に残していく一曲だ。

◇ まとめ|米津玄師のライブは“曲が景色になる瞬間”で完成する

米津玄師のライブを思い返すと、真っ先に浮かぶのは“音”ではなく**“景色”**です。
赤いレーザーが走った瞬間のざわめき、巨大スクリーンに広がる夜空、白いヴェールが舞い上がる静寂──どれも「演出がすごい」という一言では片づけられない、曲と景色が溶け合うあの一体感が記憶に深く刻まれています。

今回紹介した20曲は、ただ「人気があるから」並べたわけではありません。
筆者が実際に各公演で体感した空気、SNSで共有されたファンの声、そして近年のセットリスト傾向を踏まえて、**“名場面を作る確率が最も高い曲”**を選びました。

ライブの米津玄師は、音源とは表情も温度もまるで違います。
例えばアップテンポ曲では、「努力!未来!」の大合唱がドームの天井に跳ね返り、自分の声すら音の中に溶けていく感覚がある。
しっとりとしたバラードでは、数万人が息を飲み、一音が降りてくるたびに胸がじわりと熱くなる静けさがある。
そしてアンコールでは、ステージ上の彼と客席の距離がふっと近づく瞬間があり、**“この景色を忘れたくない”**という思いが自然とこみ上げてくる。

米津玄師のライブが特別なのは、曲そのものの強度に加えて、
光・映像・空気・観客の反応──すべてをひとつの物語として束ねてしまう力があるからです。
ある曲では星空が広がり、別の曲では赤い光が爆ぜ、また別の曲では紙吹雪が祝祭のように降り注ぐ。
そのすべてが曲の意味を拡張し、**“音が景色に変わる瞬間”**を次々と生み出していきます。

この記事を読んで、あなたが次にライブへ行ったとき、
「あ、この曲はこういう景色が待っていたんだ」
と、ほんの少しでも新しい視点で楽しめたら嬉しいです。

そして、もし会場でまた米津玄師の歌が降ってきたら、
その瞬間をどうか全身で受け止めてください。

ライブの景色は、同じようで二度と同じにはならない。
その儚さこそが、米津玄師というアーティストが作り出す“ライブの魔法”であり、
ファンが何度でも足を運んでしまう理由なのだと思います。

次の公演では、あなた自身の中にまた新しい“名場面”が刻まれるはずです。
その瞬間を楽しみに──また会場で。

◇ よくある質問|米津玄師ライブをもっと楽しむために

Q1. 初めてでも楽しめる?

はい。観客のマナーが良く、静かな曲は静寂、盛り上がる曲は一体感と空気の切り替わりが分かりやすいので、初心者でも迷わず楽しめます。

Q2. 予習するなら何曲?

最低 6曲(アップテンポ3 / バラード3) を押さえれば十分。ライブの“緩急”が分かるので、体験の質が一気に上がります。

Q3. 声出しはできる?

はい、声出しすることはできます。
特に**「KICK BACK」「LOSER」「ピースサイン」**は大シンガロングが起きやすく、声を出せると楽しさが倍になります。

Q4. セトリは変わる?

ツアー中は大枠固定ですが、演出や煽りは日によって変わることがあります。
同じ曲でも“その日だけの温度”が生まれやすいのが米津ライブの魅力です。

Q5. 気をつけることは?

ジャンプ曲は周囲に配慮
基本は “曲の空気に寄り添う” だけでOK。

◇ 米津玄師 公式サイト・SNS